眠れない時は眠らないという選択肢

2019.02.09

眠れない時は眠らないという選択肢

1.眠れぬ夜が続く毎日

私が不眠を意識し始めたのは2年ほど前のことでした。毎日仕事で終電ギリギリに帰り、眠いけど眠くない、寝たいけど寝たくないというぼーっとした時間を過ごす日が増え、気が付けば翌日早く家を出なければいけないから早く寝なければと自分に言い聞かせても全く寝付けなくなっていたのです。

そのことに気付いてしまってからは、どんどん夜が苦痛になっていきました。だらだらとテレビを見たりスマホを見たりして、寝なきゃいけないんだけどなぁと思いながらも一向に寝付けないまま数時間が過ぎていく日々。酷い時はそのまま朝日を迎えてしまい、仕事に全く集中できないこともありました。

そんな失敗を繰り返すことでさらに夜寝なければという強迫観念が強くなり、私はどんどんと眠れない悪循環に陥っていくこととなったのです……。

2.:眠れないことの何が辛いのかを考えてみた

そんな私に転機が訪れたのは、サッカーのW杯の試合をリアルタイムで見る為に、初めて自分の意思で望んで夜更かしをしていた時のことでした。

「今日もどうせ眠れないんだから、せっかくだしサッカーでも見るか」と普段そこまで熱心に見ていたわけでもないサッカーの試合を眺めていた所、気が付けばその試合展開に引き込まれ、夢中で試合の様子に没頭することができていたのです。

当然翌日はいつも通り眠れなくてふらふらのまま出社したのですが、その日は一つだけいつもと違うことがありました。

それは、夜眠らずに出社した人が私以外にもたくさんいたことです。周りの同僚たちが「眠いな(笑)」などと言いながら楽しげに試合の感想を語り合う中に混ざり、私も試合の感想を話し合う中で、私はあることに気付いたのです。

――同じ眠れない日でも今日はそんなにつらくなかったな、と。

また、こうも思ったのです。

――毎日サッカーの試合が深夜にあればこんなに眠れなくて苦しむことはないのかも知れない、と。

3.「無理に眠らなくていい」は魔法の言葉だった

それから、私の意識は変わりました。

眠れない時に無理して眠ろうとするのではなく、眠れない時は無理に眠ろうとしなければいい。眠れない時は開き直ってその時間を有意義に過ごしてしまえば、仮に翌日眠くてふらふらだったとしても少なくとも自分を責めることはなくなります。

毎日サッカーの試合があるわけではないので、その代わりに映画を見てみたり、本を読んでみたりと深夜でも楽しめるものを用意しておくことに決めました。

すると、不思議なことに眠らなければという強迫観念が少しずつ薄れていき、眠れない時は密かな趣味を楽しみ、眠れる時はぐっすり眠るという風に自分の中でメリハリが付くようになっていったのです。

いつしか、私は眠れないことに思い悩むことはなくなっていました。むしろ、眠くて眠くて仕方がない夜に「残念だけどこの映画の続きは明日だな……(笑)」などと思いながら眠りにつくことさえできるようになりました。

私にとって、「眠れない時は無理に眠らなくていい」という考え方は、まさに魔法の言葉だったのです。

後から知ったのですが、不眠症というのはそもそも不眠を苦に病院に相談に行くからこそその診断が降りるもの。 精神医学上は 眠れなくてもそれを気にしていない人は不眠症とはいえず、眠れないことを気にするからこそ「不眠症」と呼ばれる心の病になってしますようです。

皆さんももし、眠れない日が続くあまり眠れないことを恐れているのであれば、こう思ってみて下さい。

――眠れない時は無理に眠らなくていい。それよりも、その時間をどう楽しめば眠れない時間を受け入れ、楽しめるようになるか考えよう、と。